企画を考えるのに役立つツール:topologyplan70

 仕事はデザインの仕事をメインにしているわけだけど、ここ数年「デザイン」それから「デザイナー」という名称に恐ろしいほど違和感を感じている。

 

 確かに「仕事は何を?」と聞かれれば「フリーでデザイナーしてます」と答えてしまっているのだけど、どうもしっくり来ないのは私だけなのだろうか??

 世に言う「デザイナー」って、これまで出会った人特に、若い子達は、基本「オペレーター(ここではつなぐ人?)」では?ないのかと思うほど考える事をせず、クライアントに言われた要求に真摯に応える事のみ、の子が多かった。

 

 確かに、クライアントからすれば、自分の言ったとおりになるデザインを作ってくれるデザイナーはよいデザイナーになっているのかもしれない。

 

 いや、でも待ってほしい。違わないか??

 

言われた事をやる。それだけなら誰でもできる事ではないのか?という疑問はこの5,6年ずっと頭の片隅にあったし、今も変わらない。

 

これには、クライアント絶対主義とも言うべき、さらには、担当者さえ気に入れば大丈夫だろ的な、その場限りな仕事が垣間見える(気がする)。

 これは私のいた環境が「モバイル」という特殊な環境という事もあったのかも知れないが・・・そういうのは、私の思う「デザイナー」では無いということは確かだった。

 

 仕事をしていて、いくつか職種というのがあって、営業だったり取締役だったり、経理だったり、もちろんデザインだったりもするのだけど、実はこれまでやってきた仕事で、これこそデザインと思ったのは

「企画(プランニング)」だった。

 

 学生時代は、アート(かなりベタベタの)をやっており、絵を描く上では、自分なりの表現したいテーマがあって、それを主題に絵(シリーズ)を展開するわけだが、そこにはクライアントというものは確かに居ない。なので一般的には「自己表現のアートの世界は自由で良いね、理解できない事こそアート」みたいな、変な理解のされ方もしてしまう、しかし、自分で表現したいものは何か?なぜ絵を描くのか?この絵は何を表現して、何を感じてほしいのか?という問いを繰り返し、そしてやっと見つけたテーマにそって、そのテーマをよりよく表現する、という行為自体は、

実は普通の仕事の中でも一緒だと思うし、テーマは何ですか?の問いに「綺麗だから」とか「・・・」というのは描く意味が無いと思ったりしていた。

 

 これを、先ほどのデザイナーに対する違和感に当てはめると、、、、、

クライアントの要求が何であるか?そして、要求に対しての最良の表現は何か?何がゴールで、その手立ては?展開する順番は?ということを踏まえて、自分の中にある引出しから提案する。それこそがデザイナーだと思っていたので、言われた要求に対して言われたとおりのデザインを起こすのは、やっぱりオペレーターでしかないのである。

 

 何人か著名なデザイナーやアーティストが書いた本を読んだが、アーティストの書いた本で感銘するものはあまり無く、むしろテレビ企画や、デザイナー、脚本家、が書いている本の方がクリエイティブで面白かったという事実がある。

 「何が面白いのか?」、それは人それぞれではあるだろうが、個人的には、世の中をどういう切り口で観察し、どういう解釈をして、何を表現し、どういうインパクトを与えたのか、が簡潔で理解できる事。

だった。

 

いくつか読んだ本で思い出せるものとしては

 

■芸術家起業論/村上隆

売れっ子アーティストの村上隆の本は、まさにビジネス書。本に書いてあることは起業の本そのものであって、純粋培養された美大・芸大生からしたら、「村上は魂売ってる」と言われるのも無理は無い。個人的には、読んで「正しい」と思った人間の一人。

日本の絵画業界ももう少し目覚めてほしいと今でも思ってる。

 

■企画は1行/野地 秩嘉

何人かの、企業の営業や、TV企画マン、脚本家などの、企画の書き方がオムニバスな感じで載ってる本。企業のベタな企画戦略もあれば、いわゆるテレビ局的な一発狙いの企画の出し方もあり、時と場合に追ってやはり企画も変化する事を感じた本。あまり深くは無いが読みやすいのでお勧め。

 

■企画の教科書/おちまさと

内容はあまり覚えてないが、合点が良くところはいくつかあったように思う。

今は、ひところのような勢いがない筆者だが、一時代を作ったのは確かだし、その根底にはあまりぶれが無かったように思う。

 

■RE DESIGN/原研哉

すでに存在するもの(クレヨン・トイレットペーパー・おむつ etc)を再度デザインしなおしてみよう、というコンセプトのもと著名なデザイナーがデザインしたものを載せている本。以前深夜にやっていたTV番組「ニューデザインパラダイス」の元になった本。

 

ほかにもあるが、ぱっと思い出したところではこんなとこ。

 

あ、あと佐藤雅彦とか小山薫堂とかも面白い。(これはまた次回)

 

あ、どうしよう、ホントは、発想するのにPCで使うよいツールを紹介しようと思ったのに、本の話になってしまった。。。

 

 

強引に纏めるとすれば、デザイナーの仕事とは、相手の望むデザイン(絵柄や、形など)の質はもちろんのこと、目指すべきゴール設定と、それに対する最良の方法、そして相手との意思の疎通と認識の共通化をすることが、私の考える「デザイン」という仕事なのかな、と。

 

 

追伸:

これは一般的に、何になるのだろうか?だれか教えてほしい。

名刺の肩書きが決まらず、いまだに名刺を作れていないので、コメントお待ちしてます。

 

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コメント: 3
  • #1

    ishi (水曜日, 30 9月 2009 00:38)

    デザイナーって書いてる通り”企画”の事だよ。
    考え方や概念とそれを構築する為の構成、方法論の選択も含めてがデザイン。
    それを形にしたり表現したりするのは、むしろ肩書き的にはアーティスト(美術家じゃなくて、職業的には)
    少なくともMicrosoftの時もそうだったし欧米でも一般的にはそう。日本での使われ方が少し変。
    うちの大学のデザインもそう言う認識だったよ。多分。
    wikipedia:デザイン語源
    デザインの語源はデッサン(dessin)と同じく、“計画を記号に表す”という意味のラテン語designareである。つまりデザインとは、ある問題を解決するために思考・概念の組み立てを行い、それを様々な媒体に応じて表現することと解される。日本では図案・意匠などと訳されて、単に表面を飾り立てることによって美しくみせる行為と解されるような社会的風潮もあったが、最近では語源の意味が広く理解・認識されつつある。

  • #2

    モリヲ (水曜日, 30 9月 2009 09:32)

    ishi
    コメントサンキュー。
    なるほどなるほど、考え方はあってるわけね。でもさ、wikiにあるよう一般的には語源の意味どおりに理解されて無いよねぇ??日本には「企画」という職種がある訳だから名詞にも、「絵が描ける企画」って書くのが良いのかなぁ・・・・。

  • #3

    ishi (木曜日, 01 10月 2009 00:15)

    >wikiにあるよう一般的には語源の意味どおりに理解されて無いよねぇ??
    それは、自分の立ち振る舞い次第だろ。
    昔居たゲーム業界・映像業界は兎も角、それ以降は俺は、割とwiki通りだぞ。
    おかしいと思うなら、そう行動するべきなんだよ。だからここ数日いってんじゃん。
    日本で企画・プランナーと言う肩書は厳密にはあんまり機能してないぞ。身を持って解ってんじゃないの?